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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 新しい時代の白内障手術 Ⅱ.満足度の高い眼内レンズ度数決定

固定位置による度数決定の違い

著者: 野田徹1 大沼一彦2

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター眼科 2千葉大学工学部メディカルシステム工学科

ページ範囲:P.107 - P.112

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はじめに

 小切開超音波手術により角膜の屈折変化は最小となり,眼内レンズ挿入術後の屈折度数は,標準的な症例ではSRK/Tを代表とする第三世代の計算式で概ね設定どおりの値が得られている。その際,現在の眼内レンズ度数計算値は一般に,眼内レンズが囊内固定された場合を前提に眼内レンズ度数が算出されている。

 しかし,囊内固定を予定していたにもかかわらず術中に破囊などが生じた場合や,無水晶体眼への二次挿入などの場合には,眼内レンズは前囊を支持とする毛様体溝固定や毛様体溝への縫着が必要となる。その場合は,一般の計算式が前提としている前房深度よりも眼内レンズが前方に固定される結果,屈折計算値よりも近視化する。その屈折変化量は,眼軸長や眼内レンズ度数など,症例ごとの眼球光学条件の違いによって若干の差が生じることが理論的には考えられる。

 本項では,眼内レンズの固定位置の違いによる術後屈折度数への影響について考察する。

参考文献

1)Hoffer KJ:Intraocular lens calculation:the problem of the short eye. Ophthalmic Surg 12:269-272, 1981
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9)Shammas HJ:Intraocular Lens Power Calculations. 199-209, Slack Inc, NJ, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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