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特集 新しい時代の白内障手術 Ⅲ.高機能眼内レンズ
屈折誤差への対応―3)球面度数と乱視両方のずれ
著者: 中村邦彦1
所属機関: 1たなし中村眼科クリニック
ページ範囲:P.196 - P.203
文献購入ページに移動はじめに
高機能眼内レンズのなかでも多焦点眼内レンズは,遠方視,近方視とも眼鏡に依存せずにすむようになることを目的として開発され,実際その有効性は徐々に認められてきている。しかし,術後に屈折誤差が大きい場合には遠方視,近方視とも裸眼視力は低下し,本来の目的を十分に果たせない可能性が大きくなる。術後の屈折誤差を減少させるには,まず正確な眼軸長測定が必要であり,そのためには旧来のAモード超音波による眼軸長測定だけではなくIOLマスターの使用が勧められる。
残った屈折誤差(主に乱視)に対しては,切開による乱視矯正(角膜輪部減張切開limbal relaxing incision:LRI)あるいはLASIK(laserin situ keratomilleusis)による屈折誤差矯正が適応となる。どちらでも構わないがLASIKによる屈折誤差矯正(touch up)は,施行が可能な環境であれば精度も高くとても有効な方法であり,球面度数と乱視両方の屈折誤差を矯正できる。現在の多焦点眼内レンズは,単焦点眼内レンズに比べてレンズ度数の作製範囲が狭く,高度近視の症例などで,最小の度数を選択しても残余近視が生じる場合があるが,このような場合でもLASIKによる屈折誤差矯正は有効である。
多焦点眼内レンズには屈折型と回折型があるが,屈折型は裸眼視力が角膜乱視の影響を比較的受けにくい傾向がある。適切なレンズパワーがないときは別として,多くは回折型においてtouch upの適応となる。
高機能眼内レンズのなかでも多焦点眼内レンズは,遠方視,近方視とも眼鏡に依存せずにすむようになることを目的として開発され,実際その有効性は徐々に認められてきている。しかし,術後に屈折誤差が大きい場合には遠方視,近方視とも裸眼視力は低下し,本来の目的を十分に果たせない可能性が大きくなる。術後の屈折誤差を減少させるには,まず正確な眼軸長測定が必要であり,そのためには旧来のAモード超音波による眼軸長測定だけではなくIOLマスターの使用が勧められる。
残った屈折誤差(主に乱視)に対しては,切開による乱視矯正(角膜輪部減張切開limbal relaxing incision:LRI)あるいはLASIK(laser
多焦点眼内レンズには屈折型と回折型があるが,屈折型は裸眼視力が角膜乱視の影響を比較的受けにくい傾向がある。適切なレンズパワーがないときは別として,多くは回折型においてtouch upの適応となる。
参考文献
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