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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 新しい時代の白内障手術 Ⅲ.高機能眼内レンズ トピックス

モノビジョン

著者: 清水公也1

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.211 - P.213

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はじめに

 急速な高齢化社会に伴って年間約100万件を超すともいわれる白内障手術は,屈折矯正手術としての役割も担うようになってきた。とくに中高年者には眼鏡などを使用せずに遠近が見える方法が望まれるようになり,白内障手術は多焦点眼内レンズ1),調節性眼内レンズ2),モノビジョン法3~7)などさまざまな老視矯正法をオプションとして持っている。

 モノビジョン法とは一般的に優位眼を遠見用,非優位眼を近見用に矯正して遠方から近方まで良好な両眼開放視力を獲得することを目的とした老視矯正法で,筆者らは1999年から白内障手術に応用している(conventional monovision)。本法は両眼を使って外界を見ることが重要で,両眼から入力される視覚情報は中枢で統合処理(選択・抑制)される。

 この視覚情報の処理をスムーズかつ上手に行うためには,利き眼(眼優位性)の強さが弱いことが前提となる。しかし,この眼優位性の定量評価の煩雑さがモノビジョン法を一般的に普及させるまでに至らなかった原因の1つでもある。これまで筆者らは眼優位性を定量評価する機器を独自に作製して臨床応用を試み8),眼優位性の強さと眼位角度との関連性などを報告した。眼位は輻湊運動や融像力の有無,立体視獲得の目安にもなりうるものであり,モノビジョン法の成功のためには近見外斜位角度10Δ以内であることが望ましいと考えている9)

 筆者らの施行する眼内レンズによるモノビジョン法はコンタクトレンズの場合とは違い,矯正度数を変更する際の侵襲が大きいので,術前に適応と治療方針を慎重に決める必要がある。ここでは当院で施行しているモノビジョン法について,最近のトピックスを含め白内障手術の観点から述べる。

参考文献

1)Kawamorita T, Uozato H:Modulation transfer function and pupil size in multifocal and monofocal intraocular lenses in vitro. J Cataract Refract Surg 31:2379-2385, 2005
2)嶺井利沙子・清水公也・魚里 博・他:調節性眼内レンズの初期経過.眼科手術 17:79-82,2004
3)清水公也:白内障術後における老視の克服.IOL & RS 18:30-35,2004
4)Ito M, Shimizu K, Amano R et al:Assessment of visual performance in pseudophakic monovision. J Cataract Refract Surg 35:710-714, 2009
5)Ito M, Shimizu K:Reading ability with pseudophakic monovision and with refractive multifocal intraocular lenses:comparative study. J Cataract Refract Surge 35:1501-1504, 2009
6)Finkelman YM, Ng JQ, Barrett GD:Patient satisfaction and visual function after pseudophakic monovision. J Cataract Refract Surg 35:998-1002, 2009
7)新田任里江・清水公也・新井田孝裕・他:モノビジョン法における眼優位性の影響.第一報:優位眼の矯正状態における視機能への影響.日眼会誌 111:435-440,2007
8)Handa T, Uozato H, Higa R et al:Quantitative measurement of ocular dominance using binocular rivalry induced by retinometers. J Cataract Refract Surg 32:831-836, 2006
9)Hikita T, Shimizu K, Ito M et al:Relationships of exophoria, ocular dominance and stereopsis after monovision induced by intraocular lens implantation. Kitasato Medical Journal 35:60-64, 2005
10)Kawamorita T, Uozato H, Handa T et al:Effect of pupil size on visual acuity in a laboratory model of pseudophakic monovision. J Refract Surg 26:378-380, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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