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特集 新しい時代の白内障手術 Ⅳ.非定型な眼内レンズの挿入 トピックス
囊胞様黄斑浮腫への対策
著者: 柳靖雄1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学
ページ範囲:P.252 - P.253
文献購入ページに移動白内障手術後の囊胞様黄斑浮腫は1953年にIrvine1)によって初めて報告され,よく知られている白内障術後の合併症である。近年の小切開白内障手術でも,一般的に白内障手術は囊胞様黄斑浮腫を悪化させると考えられており,白内障術前に眼底が正常で術中合併症のない症例でも,手術後に蛍光眼底造影検査では20~50%に囊胞様黄斑浮腫の所見を認め,光干渉断層計(OCT)による定量的な検査ではほとんどの症例で中心窩網膜厚の増加を認めることが報告されている。
大部分の症例では術後の中心窩網膜厚の増加はわずか数μm程度と非常に軽いため,臨床上問題のある所見ではないと考えられている2)。しかし,1~5%程度の頻度で,視機能に影響を及ぼすほど程度の強い囊胞様黄斑浮腫が起こると報告されており,このような臨床的な囊胞様黄斑浮腫をIrvine-Gass症候群と呼ぶ。発症時期は通常は白内障術後3~12週間であるが,数か月~数年経って発症する症例も存在する。発症して3~12か月で80%の症例が自然軽快するとされている。しかし,一部の症例で治療を必要とする。
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