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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻12号

2010年11月発行

連載 眼科図譜・357

頸動脈ステント留置術後に発症した網膜中心動脈閉塞症の2例

著者: 西野和明1 吉田富士子1 新田朱里1 齋藤三恵子1 齋藤一宇1

所属機関: 1回明堂眼科・歯科

ページ範囲:P.1826 - P.1828

文献概要

緒言

 頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS)は,脳梗塞発症のハイリスクである高度な頸動脈狭窄症に対する低侵襲血行再建術(カテーテルインターベンション)として近年急速に発展している1,2)。わが国では2008年4月から保険診療が承認され,従来の内科的治療や外科的な治療としての頸動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)に加え新しい選択肢が増えた。しかしながら頸動脈ステント留置術を施行している最中に生じた塞栓が脳内に流れて脳梗塞を発症し,半身麻痺や言語障害などの後遺症を残すこともある。

 一方,眼科的な問題についてはYamasakiら3)の網膜動脈塞栓の症例報告などはあるものの数は少なく,今回筆者らは頸動脈ステント留置術施行後に発症した網膜中心動脈閉塞症の2例を経験したので報告する。

参考文献

1)Yadav JS, Wholey MH, Kuntz RE et al:Protected carotid-artery stenting versus endarterectomy in high-risk patients. N Engl J Med 351:1493-1501, 2004
2)Gurm HS, Yadav JS, Fayad P et al:Long-term results of carotid stenting versus endarterectomy in high-risk patients. N Engl J Med 358:1572-1579, 2008
3)Yamasaki H, Matsubara S, Sasaki I et al:Retinal artery embolization during carotid angioplasty and carotid artery stenting:case report. Neurol Med Chir(Tokyo) 49:213-216, 2009
4)川口正一郎・藤本憲太・三嶋秀明・他:頸動脈狭窄性病変に対するstent留置術術中眼動脈ドプラ血流検査―術中塞栓の観察.Neurosonology 17:136-139,2004
5)松田良介・川口正一郎・藤本憲太・他:頸動脈ステント留置術における眼動脈血流HITSの観察.脈管学 47:91-97,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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