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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻12号

2010年11月発行

文献概要

臨床報告

前囊収縮によって生じたアクリルレンズ挿入眼の視機能低下

著者: 宮本麻起子1 清水一弘2 宋由伽1 飯田知子1 石崎英介2 池田恒彦2

所属機関: 1市立枚方市民病院眼科 2大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1905 - P.1909

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要約 背景:眼内レンズ(IOL)挿入眼での前囊収縮は,水晶体の上皮細胞が筋線維芽細胞に変化することで生じるとされている。目的:シングルピースIOL挿入眼に強い前囊収縮が生じ,視機能が低下した2症例の報告。症例と所見:症例は67歳女性と73歳女性で,いずれも両眼に白内障手術とアクリル製IOL挿入を受けた。IOLは症例1では右眼に3ピース,左眼にシングルピースであり,症例2では両眼ともシングルピースであった。症例1では術前からZinn小帯が脆弱であり,手術の5か月後に左眼の前囊が強く収縮して前囊窓が閉鎖し,YAGレーザーで切開した。症例2では手術の2か月後に左眼の前囊が収縮し,上方のIOL支持部が瞳孔領に移動して視力が低下し,IOL整復術を必要とした。結論:Zinn小帯が脆弱なIOL挿入眼では前囊収縮の可能性があり,IOLの選択や術式に注意する必要がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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