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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻12号

2010年11月発行

文献概要

臨床報告

最近2年間(2007~2008)の増殖糖尿病網膜症の硝子体手術成績

著者: 吉田茂生1 松本時子1 鍋島崇寛1 佐伯有祐1 向野利寛1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院眼科

ページ範囲:P.1911 - P.1915

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要約 目的:過去2年間の増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術の成績の報告。対象と方法:2008年までの2年間に20ゲージ硝子体手術を行った増殖糖尿病網膜症70例76眼を対象とした。男性44眼,女性32眼で,年齢は35~78歳(平均59歳)である。全例がインスリン非依存性糖尿病であり,術後6~30か月(平均11か月)の経過を追った。視力はlogMARで評価し,0.2以上の変化を改善または悪化とした。結果:術後視力は改善55眼(72%),不変19眼(25%),悪化2眼(3%)で,平均視力は有意に改善した(p=0.0005)。硝子体再手術は3眼に行われ,これを含めた解剖学的な手術成功率は98.7%であった。年齢が若いほど術後視力が良好であった(p=0.01)。結論:増殖糖尿病網膜症に対する20ゲージ硝子体手術で,視力の改善または維持が97%の症例で得られた。

参考文献

1)向野利寛・武末佳子・山中時子:硝子体手術を行った20歳代増殖糖尿病網膜症症例の検討.眼科手術 19:567-573,2006
2)向野利寛・武末佳子・加藤博彦・他:増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術.3年後の視力予後.臨眼 54:1901-1904,2000
3)向野利寛・武末佳子:若年者増殖糖尿病網膜症の硝子体手術成績.臨眼 56:1805-1809,2002
4)向野利寛・大島健司:増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術での病態による手技の選択と結果.臨眼 51:93-98,1997
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8)浪川雄一・竹内 忍・葛西 浩:若年者の増殖糖尿病網膜症の硝子体手術成績.眼紀 46:103-106,1995
9)坂本泰二・藤澤公彦・川野庸一・他:糖尿病網膜症に対する硝子体手術後の視力低下要因.臨眼 54:1491-1498,2000
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11)荒川 明・高塚忠宏:増殖糖尿病網膜症硝子体術後の視力と全身状態の関係.5年以上の観察.眼臨 99:289-291,2005
12)笹野久美子・安藤文隆・鳥居良彦:増殖糖尿病網膜症硝子体手術の視力予後への全身的因子の関与について.眼紀 47:306-312,1996
13)中野早紀子・山本禎子・山下英俊:増殖糖尿病網膜症手術後の良好な視力予後に関連する因子の検討.臨眼 61:1747-1753,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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