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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻12号

2010年11月発行

文献概要

臨床報告

内頸動脈閉塞に虹彩毛様体炎を合併した血管新生緑内障の1例

著者: 桑田満喜12 小林かおる12 平本裕盛12 大津弥生1 松原孝13 西川憲清4

所属機関: 1大阪府済生会野江病院 2関西医科大学眼科学教室 3松原眼科クリニック 4多根記念眼科病院

ページ範囲:P.1927 - P.1933

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要約 目的:血管新生緑内障と虹彩毛様体炎が発症した内頸動脈閉塞症の症例の報告。症例:64歳の男性が両眼の眼圧上昇と右眼の前房出血で紹介され受診した。所見:矯正視力は右0.5,左0.6で,眼圧は右44mmHg,左55mmHgであった。両眼に前房内細胞があり,右眼に虹彩と隅角のルベオーシス,左眼に角膜後面沈着物があった。両眼とも糖尿病網膜症の所見はなかった。蛍光眼底造影による腕網膜循環時間が延長していた。脳外科の検査で右内頸動脈が99%閉塞していた。薬物治療で左右眼とも眼圧は低下した。右眼の隅角は2か月後に全周が癒着閉塞し,眼圧は大幅に上下し,2年の間に視野欠損が進行した。結論:本症例では内頸動脈閉塞により同側の眼虚血状態が生じ,続発した虹彩毛様体炎の経過とともに眼循環と房水産生が変化して,眼圧が大幅に変動したと考えられる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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