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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻13号

2010年12月発行

文献概要

臨床報告

日常生活評価による後天性眼球運動障害のquality of life特性

著者: 岡真由美1

所属機関: 1川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科

ページ範囲:P.2047 - P.2052

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要約 目的:後天性眼球運動障害例で評価した日常生活の質(QOL)の報告。対象と方法:後天性眼球運動障害38例を対象とした。男性17例,女性21例で,年齢は22~84歳(中央値61歳)であった。外眼筋麻痺または不全麻痺がほとんどで,全例に複視または像のボケがあり,視力障害または全身運動障害はなかった。日常生活は38項目についてアンケートで調査し,各項目を4段階で評価した。結果:QOLを構成する主成分は,日常視の質と心理的側面であった。前者には融像域,後者には発症からの期間が影響していた。視能矯正後にQOLの主成分が低下した2症例は,神経変性疾患と陳旧性の後天性眼球運動障害による融像障害であった。結論:後天性眼球運動障害の視能矯正でQOLの特性を把握することは,患者それぞれの問題点の抽出とその対応に重要である。

参考文献

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2)岡真由美:視能障害に対する日常生活評価の検討―後天性眼球運動障害について.あたらしい眼科 23:1631-1634,2006
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9)Hatt SR, Leske DA, Kirgis PA et al:The effect of strabismus on quality of life in adults. Am J Ophthalmol 144:643-647, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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