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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻2号

2010年02月発行

文献概要

特集 OCTによって緑内障診療の何が変わるか

―後眼部OCT(1)―Optovue RTVue-100

著者: 北善幸12 富田剛司12

所属機関: 1東邦大学医療センター大橋病院眼科 2東邦大学医学部眼科学第2講座

ページ範囲:P.126 - P.132

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はじめに

 日常診療において緑内障の病期の進行判定は,ともすれば視野検査や眼圧測定に多くが委ねられている。しかし,視野検査は自覚的検査であり,眼圧測定は正常眼圧緑内障の存在や眼圧コントロールが良好でも病期の進行する例があることから,診断と経過観察が他覚的に行えるという点で視神経乳頭や網膜神経線維層(retinal nerve fiber layer:RNFL)などの後眼部所見の判定が緑内障では非常に重要と考えられる。ただ,眼科医の眼底の評価には個人差が存在するため,乳頭変化を標準化された方法で評価・判定・記録することは容易ではない。また,臨床的に視野障害が検出される前の段階から網膜神経線維層欠損や陥凹の拡大が生じること(preperimetric glaucoma)が知られており,RNFL厚の測定などが早期緑内障の検出に役立つと期待されている。

 最近,光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)で視神経乳頭や黄斑部などの眼底後極部の3次元画像を得ることができ,かつ量的解析を迅速に行うことができるようになった。そのため,眼底カメラの代わりに視神経乳頭変化を記録,解析する装置としてOCTは今後,有望であるとも思われる。本稿でRTVue-100(Optovue社,図1)を中心にその有用性を検討したい。

参考文献

1)Berisha F, Feke GT, Trempe CL et al:Retinal abnormalities in early Alzheimer's disease. Invest Ophthalmol Vis Sci 48:2285-2289, 2007
2)Fisher JB, Jacobs DA, Markowits CE et al:Relation of visual function to retinal nerve fiber layer thickness in multiple sclerosis. Ophthalmology 113:324-332, 2006
3)Tan O, Li G, Lu AT et al:Mapping of macular substructures with optical coherence tomography for glaucoma diagnosis. Ophthalmology 115:949-956, 2008
4)高木誠二・富田剛司・野瀬明日香・他:スペクトラルドメイン光干渉断層計による黄斑部網膜内層厚の正常眼と緑内障眼の比較.第62回日本臨床眼科学会,2008
5)Hajee ME, March WF, Lazzaro DR et al:Inner retinal layer thinning in Parkinson disease. Arch Ophthalmol 127:737-741, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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