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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・24
急性網膜壊死
著者: 吉沢史子1 北市伸義1 大野重昭2
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 2北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座
ページ範囲:P.276 - P.279
文献購入ページに移動急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)は健康な成人に突然発症し,急激な視力低下をきたす難治性の疾患である。1971年に東北大学の浦山晃・山田酉之らは桐澤長徳教授の名を冠し「桐沢型ぶどう膜炎」として,「網膜動脈周囲炎と網膜剝離を伴う特異な片眼性急性ブドウ膜炎について」1)という論文を世界で初めて発表した。後に世界的にも同様の報告がなされ,その後,本疾患は急性網膜壊死と呼ばれるようになった。頻度はぶどう膜炎全体の1~2%前後と多くはないが,特徴的な臨床像を示す。
単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)1型および2型,水痘帯状ヘルペスウイルス(varicella-zoster virus:VZV)が原因と考えられ,治療は抗ウイルス薬,ステロイド薬が投与される。近年は硝子体手術の進歩に伴い予後は改善されつつあるが,未だ予後良好とは言い難い疾患である。
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