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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻3号

2010年03月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

両眼急速に盲となった胃癌による髄膜癌腫症の1例

著者: 一色佳彦1 松本美保1 田中春花1 吉武信1 上原口まゆみ1 井上亮1 秋田譲1 栗山晶治1 木村徹2

所属機関: 1大津赤十字病院眼科 2木村眼科内科病院

ページ範囲:P.323 - P.327

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要約 目的:胃癌が転移して髄膜癌腫症になり,急速に失明した症例の報告。症例:58歳男性が1週間前からの複視で受診した。2年前にスキルス胃癌と診断され,胃全摘を受け,抗癌薬で治療中であった。所見:矯正視力は左右とも1.2で,眼底に異常所見はなく,左眼に外転障害があった。初診から17日後に午後の仮眠後に視力低下を自覚した。視力は左右とも10cm指数弁で,磁気共鳴画像検査(MRI)で視神経周囲の浸潤と,髄膜癌腫症を示唆する所見があった。髄液圧亢進があり,2か月後に不帰の転機をとった。結論:眼底は正常所見であったが,胃癌から転移性髄膜癌腫症になり,これが視力障害の原因であると推定される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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