臨床眼科64巻3号

2010年03月発行

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集（1） 原著

水晶体関連合併症に1ポート硝子体手術を施行した2例

著者： 小鹿倉瞳¹ 田中住美¹ 豊口光子¹ 河野智子¹ 宇井恵里¹ 樋口かおり¹ 堀貞夫¹

所属機関： ¹東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲：P.335 - P.339

要約　目的：水晶体に関連した合併症に硝子体手術を行った2症例の報告。症例：1例は69歳男性で，左眼に白内障手術を受け，緑内障が発症した。複数回の手術ののち水疱性角膜症が生じ，全層角膜移植が行われた。虹彩が脱出し，眼圧上昇で受診した。他の1例は67歳女性。白内障手術と黄斑プロンベ縫着術後に後発白内障が生じた。これに対する手術でプロンベ偏位の危険があった。経過：灌流用20Gカニューラに閉鎖弁つき25Gトロカールカニューラを接続し，25G硝子体カッターを挿入する1ポート硝子体手術をこの2例2眼に行った。結果：2眼とも，術中の眼圧変動と合併症はなく，眼内レンズ周囲の病巣を切除できた。症例1では落下した水晶体皮質を除去した。結論：1ポート硝子体手術により，眼内レンズ挿入眼で前部と後部硝子体切除を行うことができた。

参考文献

1）Scott JD：Instruments and technique for more complex surgery within the vitreous cavity. In：Scott JD：Surgery for Retinal and Vitreous Disease. 83-97, Butterworth-Heinemann, Oxford, 1998

2）堀口正之：Optical fiber-free intravitreal surgery system（OFFISS）による硝子体手術．眼科手術　16：57-60，2003

3）Maguire AM, Trese MT：Lens-sparing vitreoretinal surgery in infants. Arch Ophthalmol　110：284-286, 1992

4）Schepens CL：Closed vitrectomy. In：Schepens CL（ed）：Retinal Detachment and Allied Diseases. 805-871, Saunders, Philadelphia, 1983

5）Gualtieri W：One-port pars plana vitrectomy（by 25-G micro-incision）. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol　247：495-502, 2009

6）吉田宗徳：極小切開硝子体手術の長所と短所．あたらしい眼科　25：1331-1337，2008