臨床眼科64巻3号

2010年03月発行

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集（1） 原著

涙囊鼻腔吻合術後に悪臭症が生じた1例

著者： 大西通広¹ 加藤祐司²

所属機関： ¹公立芽室病院眼科 ²旭川医科大学眼科学教室

ページ範囲：P.341 - P.342

要約　目的：涙囊鼻腔吻合術後に悪臭症が生じた症例の報告。症例：74歳女性の右涙囊炎に対し，鼻外法による涙囊鼻腔吻合術を行った。ヌンチャク型シリコーン管を留置し，軟膏ガーゼを3日間留置した。通水は良好であった。3か月後に鼻閉感と悪臭が生じた。内視鏡でシリコーン管に付着した痂皮と，総鼻道底部に黒色で悪臭のある堆積物があった。これを除去することで，鼻閉と悪臭症は消失した。結論：涙囊鼻腔吻合術後では，鼻内観察と清掃が望ましい。

参考文献

1）深澤啓二郎：異嗅症―その概念生理と原因．JOHNS　5：772-774，2007

2）Favet B, Racy E, Assouline M：Complication of standardized endonasal dacryocystorhinostomy with unciformectomy. Ophthalmology　111：837-845, 2004

3）大西俊郎・小澤　斉・笠原行喜・他：内視鏡的副鼻腔手術．24，メジカルビュー，東京，1998

4）森山　寛：耳鼻咽喉科外来シリーズ1．鼻副鼻腔外来．80，メジカルビュー，東京，1999