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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

強皮症に続発した増殖性網膜症の1例

著者: 村井克行1 石崎英介2 佐藤孝樹2 南政宏2 植木麻理2 池田恒彦2 槇野茂樹3

所属機関: 1北大阪けいさつ病院眼科 2大阪医科大学眼科学教室 3大阪医科大学第1内科

ページ範囲:P.507 - P.510

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要約 目的:強皮症に続発したと思われる増殖性網膜症の症例の報告。症例:35歳女性が1か月前からの右眼視力低下で受診した。矯正視力は右0.3,左1.2で,右眼に硝子体出血,上方の血管アーケードに沿う線維血管性増殖膜と牽引性網膜剝離があった。硝子体手術を行い,眼底上方に広範囲の網膜静脈分枝閉塞症が発見された。視力は1.2に改善した。膠原病内科でリウマトイド因子が陽性,抗核抗体が40倍,指先に皮膚硬化と陥凹性瘢痕があるなどから,強皮症と診断された。結論:本症例では強皮症が網膜静脈分枝閉塞症の素因であり,その結果として増殖網膜症と硝子体出血が発症した可能性が高い。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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