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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

脈絡膜新生血管を合併した急性網膜色素上皮炎の1例

著者: 田島佳奈12 齋藤航2 石田晋2

所属機関: 1時計台記念病院眼科 2北海道大学大学院医学研究科眼科学分野

ページ範囲:P.553 - P.558

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要約 目的:眼底に白点と脈絡膜新生血管が併発した再発性急性網膜色素上皮炎の症例の報告。症例:18歳女性が2週間前からの右眼視力低下と光視症で受診した。所見:矯正視力は右0.6,左1.2で,両眼の黄斑部に多数の暗灰色病巣と,これを黄白色の輪が囲んでいた。2週間後に視力は回復した。4年後に右眼視力が0.4に低下した。黄斑病変は初診時と同様であったが,中間周辺部に白斑が多発していた。急性網膜色素上皮炎と診断した。2か月後に白斑は消失し視力は0.6に回復した。4か月後に右眼視力が0.09になり,黄斑の下耳側に脈絡膜新生血管を伴う漿液性網膜剝離があった。ベバシズマブの硝子体注入を3回行い,再発から10か月後に視力は0.4に改善した。結論:急性網膜色素上皮炎の予後は概して良好であるが,脈絡膜新生血管の併発に注意する必要がある。

参考文献

1)Krill AE, Deutman AF:Acute retinal pigment epitheliitis. Am J Ophthalmol 74:193-205, 1972
2)Pedro BA:Acute retinal pigment epitheliitis. In:Foster CS, Vitale AT(eds):Diagnosis and Treatment of Uveitis. 780-786, WB Saunders, Philadelphia, 2002
3)Hsu J, Fineman MS, Kaiser RS:Optical coherence tomography findings in acute retinal pigment epitheliitis. Am J Ophthalomol 143:163-165, 2007
4)永浜正浩・生塩元章・吉岡久春:急性網膜色素上皮炎のEOG所見.眼紀 33:2080-2084,1982
5)吉岡久春:黄斑部網膜下新生血管の初発変化.眼紀 37:212-217,1986
6)Friedman MW:Bilateral recurrent acute retinal pigment epitheliitis. Am J Ophthalmol 79:567-570, 1975

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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