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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻5号

2010年05月発行

文献概要

連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・26

Behçet病

著者: 南場研一1 北市伸義1 大野重昭2

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 2北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座

ページ範囲:P.630 - P.636

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はじめに

 Behçet病の病名はトルコ・イスタンブール大学皮膚科初代教授であるHulusi Behçetが1937年,口腔内,外陰部,眼球の炎症を呈する疾患を報告したことによる(図1)。本病は口腔内アフタ性潰瘍,皮膚症状,外陰部潰瘍,眼病変を4主症状とする全身疾患であるが(図2),意外なことに皮膚科医であるBehçet自身は皮膚症状を記載していない。また古代ギリシアのヒポクラテス(図3)は紀元前5世紀に,そして後漢時代の中国でも紀元2~3世紀に活躍した張仲景が「狐惑病」という名で本病を記載している1)。したがって本病は20世紀に突然出現した疾患ではなく,古代から存在していたと考えられる。

 多発地域はユーラシア大陸の北緯30~45度に偏在しており,その地域特性からシルクロード病ともいわれる2)。青壮年期に発症し,視力予後不良の疾患であるが3),近年有効性の高い新しい治療法が登場し,視力予後の改善が期待されている。

参考文献

1)大野重昭:眼疾患発症の外因と内因.日眼会誌 109:885-916,2005
2)北市伸義・大野重昭:Behçet病.日本臨牀増刊5.臨床免疫学(下).日本臨牀 63(増):376-380,2005
3)Kitaichi N, Miyazaki A, Stanford MR et al:Ocular features of Behçet's disease:an international collaborative study. Br J Ophthalmol 91:1579-1582, 2007
4)Ohno S, Asanuma T, Sugiura S et al:HLA-Bw51 and Behçet's disease. JAMA 240:529, 1978
5)Ohno S, Aoki K, Sugiura S et al:HL-A5 and Behçet's disease. Lancet 2:1383-1384, 1973
6)北市伸義・大野重昭:ぶどう膜炎の分類と頻度.水木信久(編):すぐに役立つ眼科診療の知識.基礎からわかるぶどう膜炎.3-7,金原出版,東京,2006
7)Kitaichi N, Miyazaki A, Stanford MR et al:Low prevalence of juvenile-onset Behçet's disease with uveitis in East/South Asian people. Br J Ophthalmol 93:1428-1430, 2009
8)大野重昭・北市伸義・南場研一・他:Behçet病に対するシクロスポリン治療.シクロスポリン学術国際シンポジウム(編):免疫の進化.196-203,医薬ジャーナル社,大阪,2006
9)北市伸義・大野重昭:眼科用薬.高久史麿(監):治療薬ハンドブック2010.171-205,じほう,東京,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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