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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻5号

2010年05月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

抗緑内障点眼薬と角膜上皮障害

著者: 湖崎淳1

所属機関: 1湖崎眼科

ページ範囲:P.729 - P.732

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要約 目的:点眼で治療中の緑内障患者での点状表層角膜症の報告。対象と方法:当院に通院中の緑内障患者486人882眼を対象とした。角膜をフルオレセインで染色して点状表層角膜症の有無を観察し,程度にはAD分類を用いた。結果:419眼(47.5%)に点状表層角膜症があった。その重篤度と頻度は,1日の点眼回数と使用している薬剤数に有意の相関があった(p<0.01)。ラタノプロストまたはトラボプロストの単剤点眼では,角膜症の頻度に差がなかった。70歳未満に比べ,70歳以上では点状表層角膜症の頻度が増加したが,後者では点眼回数と使用薬剤数が多かった。結論:点眼治療中の緑内障眼の約48%に点状表層角膜症があり,その頻度と重篤度は1日の点眼回数と使用している薬剤数と正の相関があった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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