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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻6号

2010年06月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

白内障術中のinfusion misdirection syndromeに対し25ゲージ硝子体手術が有効であった1例

著者: 岡本俊紀1 竹内智一2 保坂大輔2 柳沼厚仁1 常岡寛1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学講座 2厚木市立病院眼科

ページ範囲:P.885 - P.888

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要約 目的:白内障術中にinfusion misdirection syndromeを呈し,解除に25ゲージ硝子体切除術が有効であった症例の報告。症例:62歳男性の右眼に白内障手術を施行した。短眼軸長(右眼20.83mm)で,右鼻骨骨折の既往がある。超音波乳化吸引後に眼圧が上昇,前房が消失し,手術続行は困難になった。術中の眼底検査で脈絡膜に異常がなかったためinfusion misdirection syndromeと判断し,25ゲージ硝子体切除術を施行した。これにより前房が形成され,白内障手術を完遂することができた。術後視力は良好である。結論:Infusion misdirection syndromeによって白内障手術が継続できなくなることがある。眼底所見を確認し,脈絡膜出血などを否定したうえで低侵襲に硝子体切除をすることが治療の1つの選択肢となると考えられた。

参考文献

1)Mackool RJ, Shirota M:Infusion misdirection syndrome. J Cataract Refract Surg 19:671-672, 1993
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3)林 研:硝子体中に灌流液が回って前房が浅くなったとき.常岡 寛・徳田芳浩・永本敏之(編):白内障術中トラブルとリカバリーの基本.92-95,中山書店,東京,2009
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9)Taylor DM:Expulsive hemorrhage. Am J Ophthalmol 78:961-965, 1974

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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