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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻6号

2010年06月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

印環細胞癌の視神経転移による視神経症

著者: 高木智穂1 山田雅子1 原田智子2 岩間晶子3 久保田敏信4

所属機関: 1名鉄病院眼科 2名鉄病院中央検査部病理 3名鉄病院消化器内科 4名古屋医療センター眼科

ページ範囲:P.973 - P.978

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要約 目的:胃の印環細胞癌が視神経に転移した症例の報告。症例:63歳男性が10日前からの右眼視力低下で受診した。6か月前に腹痛があり,3か月前に胃癌が発見された。4剤併用による化学療法が行われていた。所見:矯正視力は右手動弁,左1.0であり,右眼に乳頭浮腫と硝子体混濁があった。中心暗点と鼻側視野欠損があった。CTで視神経が芋虫状に腫大し,磁気共鳴画像検査(MRI)で頭蓋内に病的所見はなかった。化学療法の変更で視力は0.3になったが,全身状態が悪化し,播種性血管内凝固症候群が発症し,眼科初診から40日後に不帰の転帰をとった。剖検で胃癌は低分化腺癌非充実型の印環細胞癌であり,右視神経にその浸潤があった。結論:癌の視神経転移が視神経症の原因になることがある。

参考文献

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3)Sung JU, Lam BL, Curtin VT et al:Metastatic gastric carcinoma to the optic nerve. Arch Ophthalmol 116:692-693, 1998
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6)村山耕一郎:視神経炎(乳頭炎を含む).丸尾敏夫・本田孔士・臼井正彦・他(編):眼科学.458-459,文光堂,東京,2002
7)田口 朗:癌関連視神経症(浸潤性).丸尾敏夫・本田孔士・臼井正彦・他(編):眼科学.468-469,文光堂,東京,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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