今月の表紙
増殖性糖尿病網膜症
著者:
千嶋淳子1
山添克弥1
中澤満2
所属機関:
1亀田総合病院
2弘前大学
ページ範囲:P.1057 - P.1057
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症例は40歳,男性。糖尿病網膜症の精査・加療目的で当科を紹介された。初診時視力は右(0.7),左(0.8),眼圧は右18mmHg,左16mmHgであった。両眼に軽度の白内障があったが,その他の中間透光体に異常はなかった。眼底は,両眼に出血斑と新生血管がみられ,左眼には視神経乳頭を中心として網膜新生血管網を形成していた。動脈硬化所見も著明で,動脈は一部白線化していた。フルオレセイン蛍光眼底造影検査では,両眼の鼻側領域を中心に周辺網膜全域に無灌流領域が散在し,左眼視神経乳頭周囲の新生血管網には旺盛な蛍光漏出がみられた。速やかに両眼の汎網膜光凝固を施行し,網膜症の活動性は徐々に鎮静化した。汎網膜光凝固後1年経過した現在,両眼とも視力は(1.2),眼圧は15mmHgで血管新生緑内障も発症していない。
撮影はKOWA社製の眼底カメラVx-10iを用い,造影初期から画角50°で行った。眼底所見からも明らかな乳頭新生血管がみられたため,初期から乳頭周辺を中心に多数の毛細血管瘤や網膜無灌流領域を撮影した。蛍光漏出が眼底全体にまわり飽和する前に撮影できるよう心がけた結果,網膜新生血管網や網膜無灌流領域を鮮明に撮影することができた。