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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻7号

2010年07月発行

文献概要

連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・28

アレルギー性結膜疾患

著者: 合田千穂1 北市伸義24 石田晋3 大野重昭4

所属機関: 1東札幌眼科 2北海道医療大学個体差医療科学センター眼科学系 3北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 4北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座

ページ範囲:P.1058 - P.1063

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はじめに

 アレルギー性結膜疾患は「Ⅰ型アレルギー反応が関与している結膜炎で,何らかの自他覚症状を伴うものと」と定義され,増殖変化の有無,アトピー性皮膚炎の合併の有無,異物などによる機械的刺激の有無により,「アレルギー性結膜炎」「アトピー性角結膜炎」「春季カタル」「巨大乳頭結膜炎」の4つに大別される(表1)。アレルギー性結膜炎はさらに季節性,通年性に細分されるため,全体では5疾患に分類される1)

 アレルギー性結膜炎は,外来診療で最も多くみられる疾患の1つであり,とくに近年花粉症やアトピー性皮膚炎の増加とともに増えてきている。2006年に出されたアレルギー性結膜疾患診療ガイドラインでは,アレルギー性結膜炎は結膜に増殖性変化のみられないアレルギー性結膜疾患と定義される2)。症状が季節性のものを季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)といい,そのなかでも花粉によって引き起こされるものは花粉性結膜炎とも呼ばれる。それに対し,季節あるいは気候の変化によって増悪・寛解があるものの,症状の発現が通年性のものを通年性アレルギー性結膜炎(perennial allergic conjunctivitis:PAC)と呼ぶ。他臓器のアレルギー疾患のなかではアレルギー性鼻炎との併発が多く,アレルギー性結膜炎患者の約70~80%に合併しているといわれる。

 一方,アトピー性角結膜炎(atopic keratoconjunctivitis:AKC)は顔面にアトピー性皮膚炎を伴う患者に起こる慢性のアレルギー性結膜疾患であり,春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)は結膜に増殖性変化がみられるアレルギー性結膜疾患である。また,巨大乳頭結膜炎(giant papillary conjunctivitis:GPC)は機械的刺激による上眼瞼結膜に増殖性変化を伴う結膜炎と定義される。

参考文献

1)大野重昭・北市伸義:ガイドラインに基づくアレルギー性結膜疾患の診療.アレルギア 38:27-30,2009
2)日本眼科アレルギー研究会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン.日眼会誌 110:99-140,2006
3)北市伸義・大野重昭:アレルギー性結膜疾患の非アレルギー的側面-ケアと合併症の基本.Topics in Atopy 8:24-31,2009
4)田淵今日子・稲田紀子・庄司 純・他:アトピー性角結膜炎におけるブドウ球菌の関与に関する検討.日眼会誌 108:397-400,2004
5)北市伸義・石田 晋・大野重昭.アレルギー性結膜疾患は治癒するか.Topics in Atopy(印刷中)
6)北市伸義・大野重昭:眼科アレルギーの薬物治療.難病と在宅ケア 13:34-37,2007
7)大久保公裕・後藤 穣:アレルゲンの予防と対策-スギ花粉.Medicina 41:466-468,2004
8)北市伸義・大野重昭:眼科用薬.高久史磨(監修):治療薬ハンドブック2009.161-194,じほう,2009
9)合田千穂・南場研一・北市伸義・他:春季カタルに対する0.1%シクロスポリン点眼液の臨床効果.臨眼 62:1583-1588,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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