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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻7号

2010年07月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

インターフェロン療法中に発症した両眼性前部虚血性視神経症の1例

著者: 金田正博1 天野喜仁1

所属機関: 1東濃厚生病院眼科

ページ範囲:P.1125 - P.1129

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要約 目的:C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法中に前部虚血性視神経症が両眼に発症した症例の報告。症例:65歳男性が2日前からの右眼視力低下で受診した。数年前からC型肝炎があり,7週間前からリバビリン内服とペグインターフェロンα-2bの皮下注射を受けていた。所見:矯正視力は右0.8,左1.0で,右眼の視神経乳頭に火炎状出血を伴う強い腫脹,左眼に軽度の乳頭浮腫があった。右眼に下方の水平半盲,左眼に比較暗点があった。両眼の前部虚血性視神経症と診断した。インターフェロンとリバビリンを中止し,ステロイドパルス療法とその漸減治療で,10週間後に右眼視力が1.0になり,半盲がやや改善した。左眼視野は正常化した。結論:インターフェロンの全身投与で前部虚血性視神経症が両眼に発症した可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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