臨床眼科64巻7号

2010年07月発行

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集（5） 原著

デング熱後に両眼視神経症を発症した1例

著者： 出口香穂里¹ 横山知子¹ 木内良明¹

所属機関： ¹広島大学大学院医歯薬学総合研究科視覚病態学教室

ページ範囲：P.1131 - P.1134

要約　目的：デング熱に罹患した後に視神経症が両眼に発症した症例の報告。症例：30歳女性が両眼の光視症で受診した。3か月前にタイで勤務中にデング熱の重症型であるデング出血熱に罹患した。その5日後から両眼の視力が低下し，人の顔が判別できなかった。所見：矯正視力は右0.6，左0.9であり，両眼の視神経乳頭の鼻側縁が不鮮明で，蛍光眼底造影で同部位に過蛍光があった。視野検査で両眼に中心暗点と盲点の拡大があった。ビタミンB₁₂の内服のみを行い，初診から1か月後に両眼とも視力が1.0に回復した。結論：本症例ではデング出血熱後に視神経症が両眼に発症し，自然寛解したと解釈される。

参考文献

1）永田洋一：デング熱にみられた眼病変．眼臨　101：483-485，2007

2）鹿内真美子・八代成子・武田憲夫・他：眼病変を合併したデング出血熱の2例．眼紀　55：697-701，2004

3）徳田敦子・多部田弘士・杉戸一寿・他：フィリピンへの団体旅行で感染したデング熱の3症例．感染症誌　76：953-957，2002

4）Beral L, Merle H, David T：Ocular complications of dengue fever. Ophthalmology　115：1100-1101, 2008

5）Preechawat P, Poonyathalang A：Bilateral optic neuritis after dengue viral infection. J Neuro Ophthalmol　25：51-52, 2005

6）Bacsal KE, Chee SP, Cheng CL et al：Dengue-associated maculopathy. Arch Ophthalmol　125：501-510, 2007