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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻7号

2010年07月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

著しい局所網膜色素変性により発症6年後にAZOORと診断された1例

著者: 柴玉珠1 山崎広子1 小片一葉2 佐藤栄寿2 山本修一2

所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院眼科 2千葉大学大学院医学研究院眼科学

ページ範囲:P.1145 - P.1148

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要約 目的:著しい網膜の脱色素があり,発症から6年後にacute zonal occult outer retinopathy(AZOOR)と診断された症例の報告。症例:27歳女性が6年前からの右眼の光視症と視野異常で受診した。所見:裸眼視力は左右とも1.5で,右眼の乳頭から鼻側にかけて網膜色素変性に似た大きな病変があり,視野検査で盲点が拡大していた。左眼には異常はなかった。全視野網膜電図(ERG)では右眼に反応低下があり,多局所ERGでは視野欠損がある部位の反応が低下していた。前医への照会で視野異常が6年前にあり,眼底と蛍光眼底造影所見には異常がなかった。AZOORに起因する片眼性の網膜色素異常と診断した。結論:光視症と急性視野欠損で発症し,当初は眼底に異常がなくても,数年後に限局性の網膜色素異常が生じる症例では,AZOORである可能性がある。

参考文献

1)Gass JDM:Acute zonal occult outer retinopathy. J Clin Neuro Ophthalmol 13:79-97, 1993
2)Gass JDM, Agarwal A, Scott IU:Acute zonal occult outer retinopathy:a long-term follow-up study. Am J Ophthalmol 134:329-339, 2002
3)Watzke RC, Shults WT:Clinical features and natural history of the acute idiopathic enlarged blind spot syndrome. Ophthalmology 109:1326-1335, 2002
4)齋藤 航:Acute zonal occult outer retinopathy(AZOOR)とAZOOR complex.臨眼 62:122-129,2008
5)中林奈美子・川添真理子・植山聡子・他:球後視神経炎が疑われたAcute zonal occult outer retinopathy(AZOOR)の1症例.神眼 21:158-164,2004
6)新堂晃大・小久保康昌・谷口 彰・他:球後視神経炎として15年間経過観察されていたAZOOR(acute zonal occult outer retinopathy)の1例.臨床神経 47:116-118,2007
7)高橋理美・斎藤 航・横井匡彦・他:相対的求心性瞳孔障害が陽性となったacute zonal occult outer retinopathyの1例.臨眼 58:983-985,2004
8)松原 令・松尾裕文・妹尾健二・他:Acute zonal occult outer retinopathy(AZOOR)の1例.眼紀 50:160-164,1999
9)李 丹傑・大串元一・岸 章治:両眼マリオット盲点の拡大を呈したAZOORの1例.臨眼 59:693-697,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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