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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻7号

2010年07月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

自然吸収を認めた落下水晶体の1例

著者: 森下清太1 佐藤孝樹1 中泉敦子1 石崎英介1 南政宏1 植木麻理1 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1193 - P.1196

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要約 目的:20年前に外傷による水晶体落下があり,眼内炎が発症し,自然寛解した症例の報告。症例:73歳男性が17日前からの左眼の眼痛で受診した。発症から4日目の視力は右1.5,左指数弁で,眼圧は右15mmHg,左43mmHgで,左眼に眼内炎があったという。20年前に外傷による水晶体落下があり,手術は行われなかった。所見:眼内炎と硝子体混濁は軽度であり,硝子体内に膨化した水晶体があり,眼圧は正常化していた。消炎薬の点眼などで保存的に治療した。4か月後に水晶体嚢のみを残して実質は消失し,矯正視力は0.4に改善した。結論:20年前に硝子体内に落下した水晶体が自然破嚢し,水晶体起因性眼内炎が発症したが,水晶体蛋白が徐々に流出して炎症が軽快し,自然治癒に至ったと解釈される症例である。

参考文献

1)吉田紳一郎:核落下.臨眼 58(増):80-83,2004
2)野洲美代子・池田恒彦・小泉 閑・他:超音波白内障手術時の核落下例に対する処置法.あたらしい眼科 16:985-988,1999
3)小幡博人・金井信行:水晶体過敏性眼内炎の病理.眼科 48:1045-1049,2006
4)岩田修造:水晶体その生化学的機構.171-175,メディカル葵出版,東京,1986
5)杉山哲也:房水の動態と生化学.大鹿哲郎(編):眼科プラクティス6.眼科臨床に必要な解剖生理.146-151,文光堂,東京,2005
6)野田幸作・小椋千歌:モルガニ白内障の1例.あたらしい眼科 4:241-243,1987
7)疋田直文:水晶体過敏性眼内炎.眼科診療プラクティス31(眼の免疫のしくみ):94-97,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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