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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・29
眼窩蜂巣炎
著者: 仲昌彦1 野田実香1 北市伸義23 石田晋1 大野重昭3
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 2北海道医療大学個体差医療科学センター眼科学系 3北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座
ページ範囲:P.1244 - P.1247
文献購入ページに移動好中球が局所にとどまらず,皮下組織へびまん性に浸潤した化膿性炎症を蜂巣炎という。したがって蜂巣炎は全身の疎性結合組織でみられる。部位としては顔面や四肢,組織学的には皮下脂肪組織が好発部位である。顕微鏡で標本をみると,好中球が組織内にびまん性に浸潤し,細胞間質が融解・壊死している。融解しつつある間質があたかも蜂の巣の仕切りに,そして浸潤する好中球が蜂の幼虫にも見えることから蜂巣炎(蜂窩織炎)とよばれる。
眼窩蜂巣炎は眼窩軟部組織における急性化膿性炎症である。眼窩内は静脈系の血流が豊富で,しかも組織が比較的疎であることから抵抗が少なく,炎症は急速に拡大して重症化しやすい。ときに膿瘍を形成し,重症例では失明や死亡の危険がある。また,眼窩炎症性疾患や眼窩腫瘍との鑑別が困難な例もあり,迅速な治療を進めるためには早急かつ正確な診断が重要である1~3)。かつては眼窩蜂窩織炎ともよばれたが,現在は眼窩蜂巣炎の呼称で統一されている。
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