icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻8号

2010年08月発行

文献概要

連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・29

眼窩蜂巣炎

著者: 仲昌彦1 野田実香1 北市伸義23 石田晋1 大野重昭3

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野 2北海道医療大学個体差医療科学センター眼科学系 3北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座

ページ範囲:P.1244 - P.1247

文献購入ページに移動
はじめに

 好中球が局所にとどまらず,皮下組織へびまん性に浸潤した化膿性炎症を蜂巣炎という。したがって蜂巣炎は全身の疎性結合組織でみられる。部位としては顔面や四肢,組織学的には皮下脂肪組織が好発部位である。顕微鏡で標本をみると,好中球が組織内にびまん性に浸潤し,細胞間質が融解・壊死している。融解しつつある間質があたかも蜂の巣の仕切りに,そして浸潤する好中球が蜂の幼虫にも見えることから蜂巣炎(蜂窩織炎)とよばれる。

 眼窩蜂巣炎は眼窩軟部組織における急性化膿性炎症である。眼窩内は静脈系の血流が豊富で,しかも組織が比較的疎であることから抵抗が少なく,炎症は急速に拡大して重症化しやすい。ときに膿瘍を形成し,重症例では失明や死亡の危険がある。また,眼窩炎症性疾患や眼窩腫瘍との鑑別が困難な例もあり,迅速な治療を進めるためには早急かつ正確な診断が重要である1~3)。かつては眼窩蜂窩織炎ともよばれたが,現在は眼窩蜂巣炎の呼称で統一されている。

参考文献

1)大石正夫:細菌性眼窩蜂巣炎.臨眼 45:625-627,1991
2)八子恵子:眼窩蜂巣炎.臨眼 46:175-177,1992
3)中尾雄三:眼窩蜂巣炎.臨眼 57:114-116,2003
4)後藤 浩:眼窩蜂巣炎.眼科診療プラクティス90(眼窩疾患の診療):21-23,2003
5)野田実香:眼窩蜂巣炎.根木 昭(編):眼科プラクティス23.眼科薬物治療A to Z.267-268,文光堂,東京,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?