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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻8号

2010年08月発行

文献概要

臨床報告

治療方針の決定に磁気共鳴画像検査が有用であった小児の特発性視神経炎の1例

著者: 石居信人1 花田一臣1 古屋文康2 長岡泰司1 高橋智恵1 村松治1 吉田晃敏1

所属機関: 1旭川医科大学眼科学教室 2JA北海道厚生連遠軽厚生病院眼科

ページ範囲:P.1421 - P.1427

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要約 目的:磁気共鳴画像検査(MRI)が治療方針の決定に有用であった特発性視神経炎の小児例の報告。症例:9歳女児が6日前からの左眼視力低下,1日前からの右眼視力低下で受診した。矯正視力は右0.05,左0.04で,両眼に視神経乳頭の腫脹と視野狭窄があった。MRIで両側の視神経が視交叉直前までびまん性に腫大していた。第6病日からメチルプレドニゾロンのパルス療法を3クール行い,視野とMRI所見が改善した。視力は第34病日で右0.3,左0.4になり,2か月後に両眼とも1.0に改善した。結論:本症例の特発性視神経炎では,ステロイドのパルス治療により,視野とMRI所見がまず改善し,これに遅れて視力の回復が得られた。治療方針の決定にMRIが有力な指針になった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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