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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻9号

2010年09月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

硝子体手術併用の隅角癒着解離術が奏効した若年者の閉塞隅角緑内障の1例

著者: 家木良彰1 渡邊逸郎1 渡邊一郎1 桐生純一1

所属機関: 1川崎医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1497 - P.1502

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要約 目的:閉塞隅角緑内障に対し,隅角癒着解離術を併用した硝子体手術が最終的に奏効した若年者の報告。症例:19歳女性が偶然に発見された高眼圧で受診した。裸眼視力は左右眼とも1.0,矯正視力は1.5であり,眼圧は右34mmHg,左25mmHgであった。両眼とも前房が浅く,隅角は右75%,左50%が閉塞していた。両眼にレーザー虹彩切開術を行い,点眼で眼圧が20mmHgに低下した。3か月後に右眼圧が44mmHgに上昇し,水晶体乳化吸引術,眼内レンズ挿入術,隅角癒着解離術を行った。眼圧は20mmHgに低下したが,隅角は全周が再癒着した。硝子体手術と隅角癒着解離術で隅角は全周が開放し,無点眼で眼圧が12mmHgになった。結論:本症例の閉塞隅角緑内障には水晶体よりも後方の要因が関与していると考えられる。隅角癒着解離術後に再癒着したとき,濾過手術ではなく硝子体手術と隅角癒着解離術をしたことで眼圧下降が得られた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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