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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻9号

2010年09月発行

文献概要

臨床報告

駆逐性出血に対する待機硝子体手術

著者: 鈴木香1 鈴木幸彦1 中澤満1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科眼科学

ページ範囲:P.1619 - P.1624

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要約 目的:白内障手術中の駆逐性出血に待機硝子体手術を行った症例の報告。症例:82歳男性が白内障手術の合併症で受診した。3年前に左眼の白内障手術が他院で行われ,1.0の視力が得られた。1日前に右眼の水晶体乳化吸引術中に後囊が破損し,囊外摘出術が行われた。脱出硝子体を切除し,眼内レンズを挿入した。その翌日に前房出血と硝子体出血があり,当科に紹介された。所見と経過:右眼視力は光覚弁,眼圧は15mmHgで,網膜全剝離と脈絡膜出血があった。16日後に硝子体手術,輪状締結術,シリコーンオイル置換術を行い,網膜は復位した。眼圧上昇と網膜再剝離に対し2回の硝子体手術を行った。発症から17か月後の現在,網膜は復位し0.09の視力を得ている。結論:駆逐性出血に対し溶血期になってから硝子体手術を行い,積極的な排血と網膜復位術で視機能を温存できた。

参考文献

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2)Sekine Y, Takei K, Nakano H et al:Survey of risk factors for expulsive choroidal hemorrhage:case report. Substantiation of the risk factors and their incidence. Ophthalmologica 210:344-347, 1996
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4)Lakhanpal V, Schocket SS, Elman MJ et al:Intraoperative massive suprachoroidal hemorrhage during pars plana vitrectomy. Ophthalmology 97:1114-1119, 1990
5)敦賀孝典・中野賢輔・溝手秀秋・他:硝子体手術中に生じた駆逐性出血の2例.臨眼 52:1423-1425,1998
6)陳 介任・篠田 肇・江下忠彦・他:脈絡膜出血への手術治療.臨眼 57:1803-1807,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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