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連載 眼科図譜・358
LCAT(lecithin-cholesterol acyltransferase)欠損症に伴った角膜混濁の1例
著者: 石崎こずえ1 竹澤美貴子1 牧野伸二1 小幡博人1 茨木信博1
所属機関: 1自治医科大学眼科学講座
ページ範囲:P.12 - P.15
文献購入ページに移動レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(lecithin-cholesterol acyltransferase:以下,LCAT)は遊離コレステロールをエステル化する酵素で,脂質代謝において重要な役割を担う。LCAT活性の先天性欠損による家族性LCAT欠損は世界で26家系50例,わが国で8家系15例が報告されている常染色体劣性遺伝形式の稀な疾患である1)。臨床的にはコレステロールエステル低値,HDLコレステロール低値を呈し,コレステロール沈着により角膜混濁,貧血,腎機能障害を合併する2,3)。近年,LCAT遺伝子は16q22に存在し,6つのエキソンより構成され,エキソン5に位置するSer181,エキソン6に位置するAsp325,His377が活性中心であることが知られ4,5),LCAT遺伝子変異に関しては現在までに70種類以上が報告されている6)。
今回筆者らはLCAT欠損症による角膜混濁の1例を経験し,共焦点顕微鏡による角膜の観察や赤外光による眼底検査をする機会を得たので報告する。
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