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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻10号

2011年10月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

眼窩サルコイドーシスの1例

著者: 柏木広哉1 原田隆文2 伊藤以知郎3 渡邊麗子3 内藤立暁4 西井宏明5

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター眼科 2焼津こがわ眼科 3静岡県立静岡がんセンター病理診断科 4静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科 5西井胃腸科外科

ページ範囲:P.1595 - P.1600

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要約 背景:眼窩サルコイドーシスは眼窩腫瘍のなかでも頻度が低く,眼内病変の併発も少ないため,認知度が低い疾患である。目的:眼窩サルコイドーシスの1症例の報告。症例:61歳男性が3か月前からの左側眼窩腫瘍の疑いで紹介され受診した。磁気共鳴画像検査(MRI)で左側眼窩の下方に腫瘍陰影があった。所見:左下眼瞼に腫脹があり,腫瘤が触知された。視力は正常で,眼内に病的所見はなかった。コンピュータ断層撮影(CT)で両側の眼窩に腫瘤があり,陽電子放射断層撮影(PET)で両側の眼窩と耳前リンパ節に集積があった。ツベルクリン反応は陰性であった。左側の眼窩腫瘤の生検で肉芽腫病変,肺門部にリンパ節腫脹があり,眼窩サルコイドーシスと診断した。プレドニゾロン内服開始から1か月後に眼窩腫瘤は右側は消失し,左側は縮小した。6か月後の現在まで病変の再発はない。結論:サルコイドーシスにより眼窩腫瘤が生じることがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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