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書評
ことばもクスリ 患者と話せる医師になる
著者: 箕輪良行1
所属機関: 1聖マリアンナ医大・救急医学
ページ範囲:P.1908 - P.1908
文献購入ページに移動 1990年代以降に医学教育を受けたOSCE(Objective Structured Clinical Examination)世代と呼ばれる医師は「私は○○科のミノワです」と自己紹介でき,最後に「ほかに何か言い残したことはありませんか」とドアノブ質問ができる,という筆者らの観察は,評者もアンケート調査で実証してきた。また,評者らが開発したコミュニケーションスキル訓練コースを受講した,地域で高い評価を受けているベテラン医師が受講後にみせた行動変容は唯一,ドアノブ質問の使用増加であった。
本書は,若い医師たちをこのように見ていながらも,日ごろ目にして耳にする患者からのクレームをもとにどうしても伝えたい「言葉」の話を医療従事者に向けてまとめた書物である。クレーム実例から出発しているのでリアルであり,真(しん)摯(し)な語りかけである。この領域で2冊のテキスト(『医療現場のコミュニケーション』『コミュニケーションスキル・トレーニング』,ともに医学書院刊)を執筆している評者にとっても,このような語りかけがどうしてもかくあるべしの理想論になりがちで非常に難しいのがわかるだけに,クレームからのアプローチは執筆の抑制を保つうえでうまい戦略だと感心させられた。
本書は,若い医師たちをこのように見ていながらも,日ごろ目にして耳にする患者からのクレームをもとにどうしても伝えたい「言葉」の話を医療従事者に向けてまとめた書物である。クレーム実例から出発しているのでリアルであり,真(しん)摯(し)な語りかけである。この領域で2冊のテキスト(『医療現場のコミュニケーション』『コミュニケーションスキル・トレーニング』,ともに医学書院刊)を執筆している評者にとっても,このような語りかけがどうしてもかくあるべしの理想論になりがちで非常に難しいのがわかるだけに,クレームからのアプローチは執筆の抑制を保つうえでうまい戦略だと感心させられた。
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