icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻13号

2011年12月発行

文献概要

臨床報告

特発性眼窩炎症の眼球圧迫による瞳孔ブロックの発症が疑われた1例

著者: 岡田明1 石井正宏1 丹羽雄一1 東山智明1 今川幸宏2

所属機関: 1公立甲賀病院眼科 2大阪回生病院眼科

ページ範囲:P.1939 - P.1944

文献購入ページに移動
要約 目的:特発性眼窩炎症で眼球が後方から圧迫され,瞳孔ブロックが生じ,レーザー虹彩切開術が奏効した症例の報告。症例:60歳男性が12日前からの左眼充血と腫脹で受診した。所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.6で,左眼に-3.5Dの近視があった。左眼の前房が浅く,眼圧は右16mmHg,左22mmHgであった。磁気共鳴画像検査(MRI)で左眼球の外後方に陰影があり,眼窩の炎症または腫瘍が疑われた。レーザー虹彩切開術で前房深度は正常化し,左右の眼圧がほぼ等しくなった。7日後に他施設で特発性眼窩炎症と診断され,ステロイドパルス療法で寛解し,左眼視力は-1.5Dの矯正で1.5に改善した。結論:本症例では,特発性眼窩炎症で眼球が後方から圧迫され,瞳孔ブロックが生じ,レーザー虹彩切開術が奏効したと解釈される。

参考文献

1)久保田敏信:眼窩腫瘍アップデート2.特発性眼窩炎症(眼窩炎性偽腫瘍).眼科 51:37-42,2009
2)久保田敏信:眼窩腫瘍の診断,方針,治療のタイミング.臨眼 60:306-311,2006
3)馬詰和比古・木村圭介・笠井健一郎・他:眼窩腫瘍アップデート1.眼窩腫瘍の統計.眼科 51:31-35,2009
4)山田和正・久保田敏信・廣瀬浩士:眼窩腫瘍および腫瘍性病変265例の検討.臨眼 62:1117-1120,2008
5)岡本全弘・松浦豊明・小島正嗣・他:眼付属器MALTリンパ腫10例の検討.臨眼 63:695-699,2009
6)辻 恭子・久保田敏信・廣瀬浩士:眼瞼型特発性眼窩炎症(眼窩偽腫瘍)の臨床的特徴と治療効果.臨眼 60:1283-1287,2006
7)Ikeda N, Ikeda T, Nomura C et al:Ciliochoronal effusion syndrome associated with posterior scleritis. Jpn J Ophthalmol 51:49-52, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?