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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻2号

2011年02月発行

文献概要

臨床報告

整復手術が必要であった眼内レンズ位置異常症例の検討

著者: 村田勝一郎1 相馬利香1 久保田敏昭1 田原昭彦1

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.225 - P.229

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要約 目的:眼内レンズ(IOL)の位置異常に対して整復手術を必要とした症例の原因と危険因子の報告。対象:過去5年間にIOLの位置異常で視機能障害が生じ,整復手術を行った20例20眼を対象とした。結果:IOLは9眼では囊内固定,11眼では囊外固定であった。初回手術から整復手術までの期間は,囊内固定群では1年以上が多く,囊外固定群では1か月以内または10年以上が多かった。IOL脱臼の原因は,囊内固定群では外傷,落屑症候群,アトピー性皮膚炎に併発したZinn小帯脆弱性が多く,囊外固定群では術中の後囊破損が多かった。結論:落屑症候群やアトピー性皮膚炎がある症例では,IOLが囊内固定されていても術後の位置異常が生じることがある。囊外固定例では術後10年以上が経過していてもIOL位置異常が生じる可能性があり,注意が必要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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