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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻3号

2011年03月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

片眼が急速に盲となった乳癌の両側眼窩転移の1例

著者: 一色佳彦12 松本美保1 田中春花1 上原口まゆみ1 井上亮1 秋田穣1 栗山晶治1 宮原晋介2

所属機関: 1大津赤十字病院眼科 2小倉記念病院眼科

ページ範囲:P.339 - P.343

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要約 目的:乳癌が両側の眼窩に転移し,片眼が急速に失明した症例の報告。症例:68歳女性が1週間前からの複視で受診した。20年前に乳癌の摘出を受け,5年前に骨,肺,肝に転移があり,加療中であった。所見と経過:矯正視力は右0.8,左0.7で,軽度の白内障以外には両眼とも異常がなく,コンピュータ断層撮影(CT)で眼窩に異常はなかった。3週間後に右眼に深部痛と眼瞼下垂が生じ,右眼視力は零であった。その2週間後の磁気共鳴画像検査(MRI)で視神経から眼窩上縁にかけて腫瘍の浸潤があった。初診から1年後に右前頭葉,側頭葉,左眼眼窩に転移が生じ,その1か月後に不帰の転帰をとった。結論:悪性腫瘍の眼窩転移では,すでに他の臓器に多発していることが多く,治療による予後の改善は期待し難い。しかし,視機能低下を防ぐことは,quality of lifeを維持するために必要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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