臨床眼科65巻3号

2011年03月発行

文庫の窓から

［特別寄稿］『和蘭眼科新書』と『眼科新書』

著者： 清水弘一¹ 中泉行弘² 安部郁子²

所属機関： ¹群馬大学 ²研医会

ページ範囲：P.392 - P.396

　1815年は世界史ではとくに重要な年である。この年にウィーン会議が開催され，1789年に始まったフランス革命とこれに続くナポレオンによるヨーロッパの征服に終止符が打たれ，新秩序に向けての動きが始まったのである。

　日本の眼科にとっても1815年は大きな意義をもつ。杉田立卿（すぎた・りっけい）が翻訳した『眼科新書』が出版されたからである^1）。

参考文献

1）杉田立卿：眼科新書．全5巻．群玉堂，浪華（大阪），1815

2）Josephi Jacobi Plenck：Doctrina de morbis oculorum. Viennae, 1777

3）Josephi Jacobi Plenck：Doctrina de morbis oculorum. editio secunda, aucta. Viennae, 1783

4）Joseph Jacob Plenck：Verhandeling over de Oogziekten. Rotterdam, 1787

5）山賀　勇：「眼科新書」の原本を求めて．眼科　8：986-997，1965

6）小川剣三郎：稿本日本眼科学史．138-147．思文閣，京都，1904．（復刻版，1971）

7）福島義一・山賀　勇：眼科史．90-98．日本眼科全書第1巻．金原出版，東京，1954

8）中泉行正：従来誤りつたえられた我国で始めて版行された洋式眼科書．臨眼　12：691-692，813-814，1958

9）中泉行信・中泉行史・斉藤仁男：和蘭眼科新書（その1）．臨眼　44：1908-1909，1990

10）中泉行信・中泉行史・斉藤仁男：和蘭眼科新書（その2）．臨眼　44：2002-2003，1990

11）中泉行信・中泉行史・斉藤仁男：和蘭眼科新書（その3）．臨眼　45：86-87，1991

12）富士川　游：日本醫学史．553-557．1904．（復刻版，1972）

13）杉田玄白（著）・緒方富雄（校注）：蘭学事始．45．岩波文庫，岩波書店，東京，1959