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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻4号

2011年04月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

経涙囊アプローチで摘出した眼窩筋円錐内腫瘍の1例

著者: 田邉美香1 嘉鳥信忠1 板倉秀記1

所属機関: 1聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科

ページ範囲:P.439 - P.443

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要約 目的:眼窩内下壁から涙囊経由で摘出した眼窩筋円錐内腫瘍の症例の報告。症例:61歳女性が右眼視力低下で紹介され受診した。3年前から右眼窩腫瘍を指摘されていた。所見:矯正視力は右0.4,左1.5であり,眼窩内下方からの視神経圧迫によると思われる視野異常があった。右眼に上転と内転障害があった。磁気共鳴画像検査(MRI)で右眼窩筋円錐内に前後径26mm,左右径22mm,上下径21mmの腫瘤があり,海綿状血管腫が疑われた。腫瘍摘出は,眼窩内下壁経由で涙囊を切断し,摘出後に縫合する方法で行った。術後の視野と眼球運動は改善し,視力は0.5になり,両眼単一視野は50°まで拡大した。流涙はなく,1年後の涙道内視鏡で狭窄や閉塞はなかった。結論:眼窩内の筋円錐内腫瘍を涙囊経由で摘出することで,術野が確保され,導涙機能が維持できた。

参考文献

1)後藤 浩:眼腫瘍の疾患別頻度.後藤 浩(編):眼科プラクティス24.見た目が大事!眼腫瘍.2-9,文光堂,2008
2)Leatherbarrow B, Noble JL, Lloyd IC et al:Cavernous haemangioma of the orbit. Eye 3:90-99, 1989
3)Harris GJ, Jakobiec FA:Cavernous hemangioma of the orbit. J Neurosurg 51:219-228, 1979
4)Wright JE:Doyne lecture:Current concepts in orbital disease. Eye 2:1-11, 1988
5)Scheuerle AF, Steiner HH, Kolling G et al:Treatment and long-term outcome of patients with orbital cavernomas. Am J Ophthalmol 138:237-244, 2004
6)Boari N, Gagliardi F, Castellazzi P et al:Surgical treatment of orbital cavernomas:clinical and functional outcome in a series of 20 patients. Acta Neurochir(Wien) 153:491-498, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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