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特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(2)
原著
文献概要
要約 目的:抜去した涙管チューブの菌検査の結果の報告。対象と方法:下鼻道法による涙囊鼻腔吻合術を行い,ヌンチャク型シリコーンチューブ(NST)を挿入した284例を対象とした。200例ではNSTの盲端を涙点側から抜去し(第1群),45例では盲端を下鼻道経由で抜去(第2群),39例では先端を切断したNSTを下鼻道から抜去した(第3群)。抜去したNSTの擦過物を培養し菌を検索した。結果:各群で40~73%の頻度で菌が検出された。第1群と第3群ではチューブ留置が2か月以上になると有意に増加した。耐性菌は第3群で多く,2か月以上で有意に増加した。結論:NSTの留置期間は2か月以内が望ましく,抜去はチューブの盲端を下鼻道から行うのがよい。
参考文献
1)栗橋克昭:涙囊鼻腔吻合術:鼻内法(下鼻道法).永田 誠(監修):眼科マイクロサージェリー(第5版).121-133,エルゼビア・ジャパン,東京,2005
2)井上 康:テフロン製シースでガイドする新しい涙管チューブ挿入術.あたらしい眼科 25:1131-1133,2008
3)大野木淳二:涙囊鼻腔吻合術下鼻道法を安全かつ確実に行うために.樋田哲夫・江口秀一郎(編):眼科診療のコツと落とし穴2.手術―後眼部・眼窩・付属器.202-204,中山書店,東京,2008
4)豊川真弘・浅利誠志:メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE).あたらしい眼科 24:461-463,2007
5)林 仁:抗菌剤の点眼薬自家調整法と注意点について教えてください.あたらしい眼科 17(臨増):44-45,2000
6)田中謙剛:鼻内視鏡下に確実に行うヌンチャク型シリコーンチューブ留置法と鼻腔内からの抜去法.栗橋克昭(編):ヌンチャク型シリコーンチューブ―私のポイント―涙道手術と眼瞼下垂症手術.160-165,メディカル葵出版,東京,2006
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