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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻4号

2011年04月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

術前予想より深部に存在した鉛筆による眼窩内異物の手術経験

著者: 早川宏一1 神千佳子1

所属機関: 1秋田組合総合病院眼科

ページ範囲:P.527 - P.530

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要約 目的:術前予想より深部に存在した色鉛筆による眼窩内異物の手術経験の報告。症例:2歳男児が金色の色鉛筆で受傷した。術前のコンピュータ断層撮影では眼窩内の内直筋近傍に異物像を認めた。全身麻酔下で経結膜切開にて手術を行った。目視で確認できないため,術中透視を行うと術前予想より深部にあり眼窩隔膜を破り眼窩脂肪織内に入り込んでいた。異物は水分を含み脆弱化,細分化しており摘出時,脂肪織と一緒にさらに深部に移動したが透視下ですべて摘出した。眼瞼腫脹と結膜浮腫が長期強度にみられた。結論:異物が眼窩脂肪織に入り込むと,術中透視によって位置を把握しないと術前の予想より深部に存在する場合があるので注意が必要である。

参考文献

1)西村雅史・保科幸次・山中昭文・他:鉛筆の芯による眼内異物の1例.眼紀 51:1039-1042,2000
2)木村肇二郎:異物―幼小児の眼窩内異物の特徴と診断上の問題点.眼科 21:699-705,1979
3)浜田嶺次郎:眼科内異物.眼科MOOK 5.眼の外傷.110-119,金原出版,東京,1978
4)吉田紀子・片井直達・𠮷村長久:色鉛筆の芯による前房内異物の一例.眼紀 50:233-235,1999
5)福田 薫・山本 節:紫色鉛筆による外傷により眼瞼腫瘤をきたした1例.眼紀 40:1780-1783,1989
6)松尾信彦・岡部史朗・山元和子:黄色鉛筆による眼瞼肉芽腫とその実験的研究.臨眼 26:113-121,1972
7)清水美和・前田秀高・藤澤久美子・他:術中透視により摘出した上眼瞼異物(色鉛筆)の1例.眼臨 95:54-56,2001
8)嘉村由美:眼窩内異物.眼科 42:1407-1412,2000
9)相良絵見・三井清次郎・西田輝夫:X線透視下で眼窩に埋没した釣り針を摘出した1例.眼科手術 15:423-426,2002
10)中川たか子・安東えい子・根木 昭:眼窩悪性腫瘍が疑われた眼窩内異物の一例.臨眼 54:1731-1734,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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