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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻5号

2011年05月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

悪性腫瘍治療中に視力低下で発症したサイトメガロウイルス網膜炎の1例

著者: 難波明奈1 寺田佳子1 細川海音1 原和之1

所属機関: 1広島市立広島市民病院眼科

ページ範囲:P.717 - P.721

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要約 目的:悪性腫瘍の治療中にサイトメガロウイルス網膜炎が発症した症例の報告。症例:80歳男性が右眼の視力低下で受診した。6年前に前立腺癌と診断され,ステロイドと抗癌薬の投与を受けていた。所見:矯正視力は右0.8,左0.7で,網膜出血と滲出斑が両眼の中間周辺部にあった。前房水からサイトメガロウイルスが検出され,サイトメガロウイルス網膜炎と診断した。ガンシクロビル硝子体内投与などで寛解した。4か月後に左眼に網膜剝離が生じ,シリコーンオイルを併用した輪状締結で網膜は復位した。発症から22か月後の現在,右0.8,左0.3の視力を維持している。結論:抗癌治療中で免疫低下状態にある高齢者での視力低下では,サイトメガロウイルス網膜炎の可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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