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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻5号

2011年05月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

外傷性前房出血に対するアトロピン散瞳中に外斜視を発症した1例

著者: 阿部志保1 清崎邦洋1 大木玲子1 岸大地1 安田昌子1 吉良亮太1 久保田敏昭1

所属機関: 1大分大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.723 - P.726

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要約 目的:外傷性前房出血に対するアトロピン点眼後に外斜視が発症した症例の報告。症例:5歳女児が竹とんぼで右眼に受傷し,その翌日に受診した。裸眼視力は右1.0,左0.9で,眼位は正位であった。右眼に瞳孔下縁までの前房出血の貯留があり,中間透光体と眼底には異常がなかった。入院のうえ,1%アトロピンを1日2回,ベタメタゾンを1日4回点眼した。1週間後に前房出血はほとんど消失し,退院した。退院時の視力は右1.2,左1.5であった。退院の翌日に母親が右眼の外斜視を発見した。以後,外斜視と複視が生じ,近見35△,遠見30△の右眼外斜視で,固視交代が可能,眼球運動と輻湊には異常がなかった。改善がなく,5か月後に手術を必要とした。結論:乳幼児ではアトロピン点眼による片眼の不完全遮蔽で斜視が生じる危険がある。

参考文献

1)白鳥 敦・青柳摩弥・芝崎喜久男:アトロピン遮閉による弱視治療.臨眼 49:379-383,1995
2)臼井千恵・久保田伸枝:斜視弱視のアトロピン点眼治療による健眼弱視化.眼臨 87:1326-1329,1993
3)久保田伸枝・臼井千恵:斜視弱視のアトロピン療法における遮閉弱視の発現.日眼会誌 97:763-768,1993
4)石川須美子・野村耕治・安達 功・他:不同視弱視治療中に内斜視を発症した1例.眼臨 95:502-504,2001
5)落合敬子・渡辺恵美子・坂上達志・他:不同視弱視治療後に発症した内斜視の1例.日本弱視斜視学会雑誌 27:62-65,2000
6)田邊恵子・芝崎喜久男・白鳥 敦・他:立体視と不同視弱視.眼臨 87:1696-1702,1993
7)野村耕治:健眼アトロピン遮蔽下における近見コントラスト感度の検討.眼臨 92:747-750,1998
8)沼田公子・藤井智仁・清水 勉:眼外傷後に発症した内斜視の1例.日本視能訓練士協会誌 28:187-191,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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