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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

結核性ぶどう膜炎の診断におけるクォンティフェロンの有用性

著者: 澁谷悦子1 石原麻美1 竹尾悟1 竹内正樹1 安藤澄1 中村聡1 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.809 - P.815

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要約 目的:眼所見,ツベルクリン皮内テスト,クォンティフェロン反応から結核性ぶどう膜炎と診断し,治療した2症例の報告。症例:症例は35歳と36歳の男性で,いずれも両眼の網膜血管炎として紹介され受診した。所見:矯正視力はいずれも1.2以上で,前眼部に炎症所見はなく,出血を伴う閉塞性網膜血管炎があった。蛍光眼底造影で広範な無血管領域があった。両症例ともツベルクリン皮内反応とクォンティフェロン反応が陽性であった。眼外結核はなかった。網膜光凝固と抗結核薬を経口投与した。1例では眼病変が寛解し,他の1例では網膜血管炎が遷延し,虹彩ルベオーシスが出現し,視力が左右とも0.1に低下した。結論:結核性ぶどう膜炎の補助診断法としてクォンティフェロン反応は有用であるが,総合的に判断することが必要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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