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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

強膜開窓術後23年経過し再発したぶどう膜滲出の1例

著者: 岡村知世子1 國方彦志1 阿部俊明2 中澤満3 布施昇男1

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科・視覚科学分野 2東北大学大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センター細胞治療分野 3弘前大学大学院医学研究科眼科学講座

ページ範囲:P.895 - P.900

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要約 目的:小眼球に伴うぶどう膜滲出(uveal effusion)に対して強膜開窓術が行われ,その23年後にぶどう膜滲出が再発した症例の報告。症例:70歳男性が右眼視力低下で受診した。生来視力が不良であり,24年前に右眼,18年前に左眼にぶどう膜滲出があり,いずれも4象限への強膜開窓術で網膜が復位した。所見:+14Dの矯正で,視力は右0.09,左0.1であった。眼軸長は左右眼とも約17mmで,右眼の下方眼底に非裂孔原性胞状網膜剝離があった。ぶどう膜滲出の再発と診断し,24年前と同じ4象限に,3mm×3mmの拡大強膜全層切除を行った。3か月後に網膜は復位した。結論:真性小眼球に生じたぶどう膜滲出に対し強膜開窓術が有効であるが,長期間後に再発することがある。これに対し,強膜開窓術は選択肢の1つである。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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