icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

12年前の外傷が起因と思われる下眼瞼に生じた腫瘤の1例

著者: 新井英介1 田村薫2 工藤大介2 小倉加奈子2 松本俊二2 横山利幸2 沖坂重邦3 村上晶1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科 2順天堂練馬病院眼科 3眼病理教育研究所

ページ範囲:P.935 - P.937

文献購入ページに移動
要約 目的:下眼瞼に異物と肉芽腫が発見され,12年前の外傷が原因と推定された症例の報告。症例:33歳男性が2か月前から増大した右眼の下眼瞼の腫瘤で受診した。所見:下眼瞼の腫瘤は,磁気共鳴画像検査(MRI)で8mm大の結節があり,粉瘤が疑われた。1か月半後に2cm×1cm大の腫瘤を摘出した。病理学的に異物があり,肉芽腫と診断された。巨細胞はなかった。12年前に喧嘩で右眼の下眼瞼に裂傷があり,縫合を2針受けていた。結論:非生物性の異物が組織中に残存すると,刺激性物質として周囲に層状炎症反応を生じ,異物巨細胞による貪食像がない非典型的な異物肉芽腫を形成することがある。本症例は過去の外傷による異物刺入が原因であると推定される。

参考文献

1)Elder D, Elenitsas R, Jaworsky C et al:Lever's Histopathology of the Skin. 8th ed. 317-340, Lippincott Raven Pub, Philadelphia, 1997
2)上奥敏司・前川直輝・石井正光・他:木片による異物肉芽腫.皮膚 43:163-166,2001
3)Aochi S, Oono T, Nakanishi G et al:Foreign body granuloma caused by a permanent cosmetic filler. Jpn J Dermatol 117:53-56, 2007
4)森山 涼・中村 敏・渡辺孝也・他:治療が遅れた上眼瞼結膜下異物肉芽腫の6例.臨眼 61:1471-1474,2007
5)小松丈記・角 環・高見淳也・他:2年6カ月間にわたり膿瘍を形成した眼瞼植物異物の1例.眼臨 98:477-480,2004
6)田中友博・高橋 徹・中川陽一:眼瞼異物肉芽腫の1例.眼科手術 16:427-430,2003
7)Bar S, Hammer U, Struck HG et al:Foreign body granuloma after lower eyelid avulsion and surgical revision with silicone tube splint. Klin Monatsbl Augenheilkd 216:232-234, 2000
8)Lee, J W, Yoo K H, Kim J Y et al:A case of foreign body granuloma caused by injection of safflower seed extracts. Korean Journal of Dermatology 47:242-244, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?