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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

臨床報告

両眼で同時に乳頭血管炎を発症した1例

著者: 中泉敦子1 佐藤孝樹1 石崎英介1 南政宏1 菅澤淳1 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.981 - P.985

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要約 目的:両眼に同時に発症した乳頭血管炎の症例の報告。症例:63歳女性が1週間前からの右眼視力低下で受診した。11年前にIgA腎症と診断され,6年前から糸球体腎炎で腹膜透析を受けていた。所見:矯正視力は右0.4,左1.0で,右眼の黄斑部に赤い隆起性病変と網膜下出血があった。右眼のポリープ状脈絡膜血管症と診断した。10か月後に左眼の視力が0.5に低下した。両眼に出血を伴う乳頭の発赤腫脹があった。両眼のⅠ型乳頭血管炎と診断し,プレドニゾロン30mg/日の内服を開始した。左眼視力は5週間後に1.2に回復した。結論:本症例では基礎疾患として,自己免疫性のIgA腎症が存在し,乳頭血管炎の発症に免疫学的な機序が関与した可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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