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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻6号

2011年06月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

網膜中心動脈閉塞症の発症9か月後に出現した滲出型加齢黄斑変性の1例

著者: 小笠原幹英1 林孝彰1 久保寛之1 常岡寛1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.853 - P.858

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要約 目的:網膜中心動脈閉塞症の発症後に滲出型加齢黄斑変性が生じた症例の報告。症例:80歳男性が左眼に視力低下が突発して受診した。心筋梗塞が12年前,脳梗塞が7年前にあった。所見:矯正視力は右1.5,左手動弁で,左眼に桜実紅斑があった。蛍光眼底造影で網膜動脈の造影開始が著しく遅延し,網膜中心動脈閉塞症と診断した。治療により11日後の左眼視力は40cm指数弁になった。その9か月後に黄斑出血が左眼に生じ,加齢黄斑変性と診断した。硝子体出血が頻発し,ベバシズマブの硝子体注射を行った。22か月後に黄斑は線維性瘢痕病巣になった。結論:網膜中心動脈閉塞症の既往がある眼に活動性が高い加齢黄斑変性が発症することがある。

参考文献

1)Brown GC, Magargal LE:Central retinal artery obstruction and visual acuity. Ophthalmology 89:14-19, 1982
2)Sharma S, Brown GC:Retinal artery obstruction. In:Ryan SJ(ed):Retina. 4th ed. 1323-1338, Mosby-Elsevier, Philadelphia, 2006
3)Oshima Y, Ishibashi T, Murata T et al:Prevalence of age related maculopathy in a representative Japanese population:the Hisayama study. Br J Ophthalmol 85:1153-1157, 2001
4)神原裕子・奥 英弘・喜田照代・他:不全型網膜中心動脈閉塞症に虚血性視神経症の合併が疑われた1例.眼臨 98:574-577,2004
5)von Hanno T, Kinge B, Fossen K:Retinal artery occlusion following intravitreal anti-VEGF therapy. Acta Ophthalmol 88:263-266, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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