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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻7号

2011年07月発行

文献概要

臨床報告

血小板減少を伴った結核性ぶどう膜炎の1例

著者: 藤田恭史1 高井七重1 多田玲2 勝村ちひろ3 竹田清子4 奥野高司5 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2多田眼科 3恵生会病院眼科 4芦屋市民病院眼科 5香里ヶ丘有恵会病院眼科

ページ範囲:P.1171 - P.1175

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要約 目的:血小板減少を伴った結核性ぶどう膜炎の1症例の報告。症例:29歳女性が1週間前からの飛蚊症で受診した。所見:矯正視力は右0.6,左1.0であった。右眼に軽度の前房混濁と角膜後面沈着物,硝子体混濁,網膜静脈周囲炎があった。ツベルクリン反応が強陽性であった。血小板が初診時には13.6万/μlであったが,5週後に1.2万/μlに急減し,全身に紫斑が生じた。骨髄穿刺で骨髄低形成があった。大量免疫グロブリン療法で血小板値が上昇した。縦隔リンパ節の生検で乾酪壊死があり,結核菌は培養されなかった。結核菌に対するアレルギー反応と診断し,抗結核療法とプレドニゾロンの全身投与を開始した。1週間後に眼底所見は改善し,6か月後に投薬を打ち切った。結論:結核性ぶどう膜炎または網膜静脈周囲炎では,血小板減少症が続発することがある。

参考文献

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2)成田理会子・佐藤徳子・早川宏一・他:結核性ぶどう膜炎を疑った1症例.眼紀 56:193-196,2005
3)村野奈緒・大原国俊・田中花子・他:結核性ぶどう膜炎と考えられた1例.眼紀 56:197-200,2005
4)Tsuro K, Kojima H, Mitoro A et al:Immune thrombocytopenic purpura with pulmonary tuberculosis. Internal Medicine 45:739-742, 2006
5)湯浅武之助:結核性ぶどう膜炎.眼科診療プラクティス8(ぶどう膜炎診療のしかた).120-123,1993
6)後藤 浩:結核性ぶどう膜炎の最近の動向を教えてください.あたらしい眼科 17:64-66,2000
7)Maejima H, Arai S, Ebata S et al:Tuberculous gumma associated with idiopathic thrombocytopenic purpura:report of a Japanese female patient. Journal of Dermatology 34:86-91, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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