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特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著
緑内障患者と糖尿病網膜症患者の手帳持参率の比較
著者: 小林博1
所属機関: 1国立病院機構関門医療センター眼科
ページ範囲:P.1237 - P.1241
文献購入ページに移動要約 目的:緑内障と糖尿病網膜症手帳の持参率の比較。対象と方法:年に数回受診する予定があり,手帳を所持していない患者424例を対象とした。緑内障患者は256名で平均年齢は68歳,糖尿病網膜症患者は168名で平均年齢は66歳である。これらの患者に緑内障手帳または糖尿病眼手帳を新規に交付し,その持参率を調査した。結果:手帳の持参率は,緑内障患者では1,536回の受診中1,346回(87.6%),糖尿病患者では831回中650回(78.2%)で,両群間に有意差があった(p<0.0001)。2,6,12か月後の持参率は,緑内障患者では65%,81%,88%,糖尿病患者では66%,90%,94%であり,受診回数とともに持参率が向上した。持参率が低い緑内障患者では点眼をしない回数が有意に増加した(p<0.0001)。結論:緑内障と糖尿病患者での手帳持参率は,病識の状態を反映している。
参考文献
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