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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻8号

2011年08月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

原田病に対する治療法についての検討

著者: 山田晴彦1 平本裕盛1 星野健1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学枚方病院眼科

ページ範囲:P.1299 - P.1304

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要約 目的:原田病に対する3治療法の効果の比較。対象と方法:過去54か月間に治療した新鮮な原田病25例を検索した。16例にステロイド剤のパルス療法,6例に徐放性ステロイドのテノン囊下注射,3例にパルス療法後に徐放性ステロイドのテノン囊下注射を行った。全例で6か月以上の経過を追った。結果:プレドニゾロンに換算したステロイド総量は,テノン囊下注射群で1,372mg,パルス療法群でその3倍,両者併用群でその5倍であり,有意差があった。初診時視力はテノン囊下注射群が他の2群よりも有意に良好で,最終視力は両者併用群が他の2群よりも有意に悪かった。両者併用群での最終視力は初診時視力よりも改善せず,他の2群では改善した。両者併用群では平均2回の再発があった。結論:ステロイド剤のパルス療法とテノン囊下注射では治療成績に差がなく,後者ではステロイド投与量が少なかった。両者の併用は重篤例に多かった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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